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ヒビキアウ 〜広がる響き、それぞれの響き〜 オーケストラと共に響きあうインクルーシブコンサート

昨年の感想はこちらに書いていますが、今年も楽しみな公演になりました。個性が光る良い曲ばかりで、小編成ならではの響きを本当に間近にお聴きいただけます。文京シビックホールでお待ちしています!

■ 日時:01/18(日) 

公開リハーサル11:00-12:30   本公演14:00–15:30 

■ 場所:文京シビックホール 小ホール 

(東京都文京区春日1-16-21 丸ノ内線・南北線 後楽園駅(5出入口)直結 三田線・大江戸線 春日駅直結 JR水道橋駅(東口)徒歩10分)

■ 出演:Chamber Orchestra NEO  コンサートマスター 中村ゆか里 指揮 田中元樹

■ チケットhttps://teket.jp/11558/58112

「ヒビキアウ」は、未就学児や障害児の方、ワンオペ育児中の親子など、どなたでも安心して楽しめるインクルーシブなコンサートです。 「地ベタリアンスタイル」 により、ホールの座席を一部取り外し、演奏家と同じフロアで音楽を体感できます。立って自由に演奏するChamber Orchestra NEOが、モーツァルトの交響曲から若手日本人作曲家の新作まで幅広いプログラムをお届けします。 終演後には、オーケストラの演奏家や指揮者と直接交流いただける「ヒビキアイタイム」も予定しています。「こう聴かねばならない」「静かにじっとして聴く」というルールから少し自由になり、身体全体で音の響きを感じていただければと思います。どちらの公演も、会場と音楽が共鳴しあう特別な時間にしたいと願っております。 皆さまにお会いできることを、心より楽しみにしております。 

Neoclassical Collective  info@neoco.jp  https://neoco.jp/

2026/1/18 ヒビキアウ 〜広がる響き、それぞれの響き〜

2026/1/18(日) 開場13:30 開演14:00

【公開リハーサル 開場10:30 開演11:00】

ープログラムー
1.ヴィヴィアン・ファイン (1913-2000)「弱⾳器をつけた弦楽のための哀歌」(1937) [⽇本初演]
2.芥川也⼨志 (1925-1989) [⽣誕100年] 「弦楽のための三楽章」(1953)
3.松永悠太郎:小管弦楽のための「都市の色彩」[2026年委嘱初演]
4.ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (1756-1791) 「交響曲第 33 番」 (1779)

詳細はこちら(昨年の公開リハーサルの様子や演奏の一部などご覧いただけます)

チケットはテケトのサイトからご購入いただけます。 https://teket.jp/11558/58112


「ヒビキアウ」は、「響き(ひびき)」をテーマに、モーツァルトの交響曲から日本人作曲家による新作まで、247年の時を超えた作品たちをお届けするコンサートです。音楽家とお客様が音を共有することを「響きの共有」と捉え、会場内のすべての人が互いに響き合う空間を「ヒビキアウ」と名付け、公演タイトルとしました。インクルーシブな取り組みとあわせて、音楽家とお客様が音を通して共鳴する空間を創ります。 

お問い合わせ

メールアドレス:info@neoco.jp
お問い合わせフォームURL:https://neoco.jp/contact
その他のお問い合わせ先:https://www.instagram.com/NEOCOJP

弓が持てるようになった秘密

大人になってからヴァイオリンを習い始めた生徒さん。弓の持ち方は最初の難関ですが、レッスン開始2、3ヶ月くらいであっという間に少し良い感じに!お仕事もお忙しいのになぜこんなに早いのかしらと思って聞いてみたところ、メルカリでジャンク品の弓を1000円くらいで買ってリビングに出しっぱなしにしておき、いつでも触れるようにしているというのです。レッスンでは弓を持つためのいろいろな体操も教えていますが、夜、テレビやパソコン見ながらでもできるとのお話でした。

弓

意外なメルカリの活用法で感心しました。弓の代わりに鉛筆などで持ち方を練習する方法はありますが(鉛筆は鉛筆で弓より軽くて持ちやすいなどの利点はあります)、本物の弓にたくさん触れるためにはいいアイディアです。ヴァイオリンはさあ練習しようと思ったところで、弾くまでの準備が面倒に感じてしまうんですよね。ケースを開けて、弓出して、弓の毛張って、松脂つけて、いったん置いておいて、ヴァイオリン出して、肩当てつけて、さあ弓も持って、まずは調弦をしないと…となると、蓋を開けるだけで弾けるピアノに比べてどうしても腰が重くなります。生徒さんのアイディアは、出しっぱなしにしておいてなるべく触れる時間を増やすという点で成功していると思いました!

弓の正しい持ち方について、指のあてる場所、曲げ具合など、私が正しいことを細かく説明することはできます。それを頭で理解しても、それを身につけ、自在に操れるようになるには「慣れ」が必要ですので、弓に触れる時間を確保する工夫が素晴らしいと思いました。

マルシェ弦楽四重奏団2025終演

今回特に選曲の意味を自分なりに考え抜いたので、聴いてくださった方に伝えることができたのではないかと思います。同じ空間で音楽を私たちと共有してくださった皆様、本当にありがとうございました。

曲について考えていく過程を文章にまとめて公開してみたのも、私にとっては初めての試みでした。頭の中では普段から考えているつもりでしたが、文章にまとめて公開するとやはり自分の意識は変わります。お読みいただいた方、ありがとうございました。

マルシェ弦楽四重奏団では、来年もアウトリーチ、コンサートなどの予定が継続してございます。今後も私たちの活動に関心を寄せていただけると嬉しいです。

10月マルシェ弦楽四重奏団主催公演にむけて<4・五木の子守唄、アンダンテカンタービレ>

五木の子守唄

この曲は熊本県球磨郡五木村に伝わる民謡です。五木村は熊本県の南部の内陸の山間部にある、平家の落人伝説のある小さな村。この歌は子守をする少女が、自分の不幸な境遇などを自ら慰めるために歌った歌です。かつて小作人の少女たちは、家が貧しく、「口減らし」のために奉公に出されることが多くありました。

五木村

哀愁を帯びた物悲しいメロディーです。私は聴きながらガーシュウィンのオペラ「ポーギーとベス」より「サマータイム」を思い出しました。貧しいアフリカ系アメリカ人の主人公が赤ん坊をあやしながら歌うブルースです。ブルースも成り立ちを考えるとアフリカ系アメリカ人の「民謡」とも言えるジャンルですから、日々の暮らしに心情を歌詞にこめて歌っていたという共通点があるのかもしれません。

コンサートでは幸松肇氏が編曲した「弦楽四重奏のための日本民謡集」より演奏します。これまでにマルシェ弦楽四重奏団ではこの民謡曲集から「ソーラン節」「茶っきり節」「鹿児島おはら節」などいくつかをコンサートやアウトリーチで演奏してきました。日本土着の民謡の響きそのままというよりは、西洋の楽器、西洋の響きも活かした新しいアレンジになっていると感じます。

アンダンテ・カンタービレ

この曲は、ロシアの作曲家チャイコフスキー(1840-1893)によって1871年に作曲された「弦楽四重奏曲第1番ニ長調作品11」の第2楽章です。美しい旋律が大変有名で、いろいろな楽器に編曲されたり、今回のコンサートのように単独で演奏されることも多いです。

チャイコフスキー

チャイコフスキーは若い頃に民謡の採譜にも取り組み、その成果は「50のロシア民謡曲集」(1869年:弦楽四重奏曲第1番の作曲時期に近い)といった形でまとめられました。そうした活動の影響でしょうか、初期のチャイコフスキーの作風は民族的な要素を採り入れた作品が多かったと言われています。 弦楽四重奏曲第1番は、彼の創り出す豊かな旋律と情感溢れる表現力が際立っており、ロシアの伝統的な音楽と西洋のクラシック音楽を融合させた作品として評価されています。

第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」も民謡を元にしていると言われていますが、具体的にどの民謡なのかについては諸説あるようです。 その一つが、冒頭部分のテーマがウクライナのカメンカで聴いた民謡を元にしているのではないか、というものです。
カメンカはチャイコフスキーの妹の嫁ぎ先で、1870年代にはチャイコフスキーが頻繁に訪れていたということです。

今回の記事でご紹介した2曲はどちらも民謡が元になっており、素朴ながら胸に迫る旋律が印象的です。コンサートでは、人々の心の中に大切に伝わってきた「うた」を弦楽四重奏の響きでお楽しみください。

【2025/10/13追記】

全4回にわたって全てのプログラムを眺めてみますと、パーセルはイギリスの、五木の子守唄は日本の、チャイコフスキーはスラブの、リゲティはハンガリーの、シューベルトは南ドイツ・オーストリアの、”それぞれの文化・伝統・メロディー” が豊かに表現された曲ばかりです。長い歴史の中で人々によって受け継がれてきたもの、それを弦楽四重奏曲という形で残してくれた作曲家のそれぞれの「歌」がお聴きいただく皆様の心に届きますようにと思って演奏しました。

🎵コンサートの詳細は以下のページをご覧ください🎵

2025/10/12 マルシェ弦楽四重奏団2025  〜響きあう・うた〜

いよいよ1ヶ月後〜10月マルシェ弦楽四重奏団主催公演にむけて<3・パーセル>

来月に向けてリハーサルにも力が入ってまいりました。リハーサルの音源から、ちらっとパーセルのファンタジアがお聴きいただけます。

ヘンリー・パーセル(1659年 -1695年)はイギリス生まれ、ウェストミンスター寺院のオルガニスト、王室楽団の作曲家として活躍しました。伝統の上に新様式を盛り込み、英国音楽に新風を吹き込んだバロック時代の作曲家です。

16世紀から17世紀初頭にかけて、イギリスではヴィオールの合奏がもてはやされ、同時代に活躍したイギリスの作曲家たちはこのレパートリーのための音楽を残しました。パーセルも3声から7声まで多彩なヴィオールの作品を作曲しています。

「4声のファンタジア」とある通り、後にハイドンによってヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロによる弦楽四重奏のスタイルが確立される以前の曲です。元々はヴィオール属(ヴィオラ・ダ・ガンバ)のために書かれました。

こういう楽器ですね。厳密には細かい違いがあるためヴァイオリン属の先祖とは言えないようです。

弦楽四重奏という形式が確立された後の曲より、4つの楽器の役割分担が明確ではなく、一つのものを自由に4人で紡ぎ出すような面白さを感じます。10/12のコンサートでは、この曲から演奏をスタートし、いろいろな「うた」が広がっていきます。

10月マルシェ弦楽四重奏団主催公演にむけて<2・リゲティ>

杉並公会堂にもポスターが掲示されました

シューベルトの大曲と共にプログラムのメインとなるのがリゲティの弦楽四重奏曲。こちらも以前からマルシェの中でやりたい曲としてあがっており、数年前に楽譜も購入してあった曲です。

リゲティは現代音楽の巨匠として大変有名で名前を聞く機会も多いものの、私個人は演奏機会はありませんでした。10年以上前にホルン三重奏曲を聴いて難解に感じつつも興味惹かれる部分がたくさんあったことを覚えています。

リゲティについて

ジェルジュ・リゲティ(1923年5月28日 – 2006年6月12日)は、ルーマニアでユダヤ系ハンガリー人として生まれ、ハンガリー動乱がソ連に鎮圧された1956年にオーストリアに亡命。スタンリー・キューブリック監督は映画『2001年宇宙の旅』、『シャイニング』、『アイズ ワイド シャット』などでリゲティの音楽を使用したため、その音楽はクラシック音楽を越えて広く知られるようになりました。

第二次世界大戦の折には、家族はバラバラに強制収容所に入れられ、父はアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で、弟はマウトハウゼン強制収容所で命を落としています。その後ソ連抑圧下のハンガリーで過ごし、ハンガリー動乱の際には、銃撃を避けてハンガリーとオーストリアの国境に広がる湿地帯を通り抜けて亡命するなど、政治的に厳しい状況に置かれました。

夜の変容

弦楽四重奏曲第一番は「夜の変容」という副題がついており、不穏な雰囲気、抒情的な旋律など変化に富んだこの作品の性格を表していると言えるでしょう。ハンガリーがソ連抑圧下にあった1954年に作曲されました。31才という若い時の作品ですが、当時のハンガリーは大戦後の西側の実験的な音楽の情報が入ることもなく隔絶されており、独創的な音楽になっています。この頃リゲティはハンガリーの先人バルトークの音楽を理想とし、ハンガリーの民謡を元に作曲をすることもありましたが、社会主義リアリズムが蔓延するハンガリー当局から演奏を禁止されており、非公開のままになる曲も多くありました。この曲も亡命後の1958年にウィーンで初演されています。

演奏にあたって

録音を聴いたりスコアを見ると「弦楽四重奏としての技巧」が要求されることがわかります。テンポや拍子がよく変わる、「伝統的な和声音楽」ではないため4人で音程があっているのかわかりづらい、歯車のようにカチッと噛み合ってこそかっこいいと感じるところも多い、早いパッセージやグリッサンドも多い、特殊奏法も多い・・・それらをどのように扱って歌にまで昇華するか。冒頭から曲全体を支配しているような半音階進行から始まり、次第にメロディが導き出されてきます。ユーモアがあったり、怪しげだったり、痛みを感じるようだったり、リゲティならではの「うた」が浮かび上がってくるような演奏ができればと考えています。

今回演奏するシューベルトの半分ほどの長さの曲ですが、練習を始めた当初はとてつもなく長く感じました。リハーサルと重ねてくると次第に短く感じられるようになり、ようやく最後まで行けそう!という気持ちになりつつあります。「数学的な楽譜」とそこから聞こえてくる「豊かな響き」のギャップが面白いところです。多彩な音色で夜を表現し、最後は静かに消えていきます。

2025/10/12 マルシェ弦楽四重奏団2025  〜響きあう・うた〜

2025/10/12(日) 開場: 13:30 / 開演: 14:00

杉並公会堂 小ホール

チケット購入はこちらから(teket)、またはこのサイトのContactページからお問い合わせください。

マルシェ弦楽四重奏団による「響きあう・うた」をテーマにした演奏会。
「歌、メロディー」に重きを置き、日本やヨーロッパの様々な国や時代の弦楽四重奏作品をお話をまじえながらたどる。弦楽四重奏は4つの弦楽器でひとつの音楽を作る、シンプルな演奏形態である。誰もが持っている楽器は声であり、歌は人間にとって身近なもの。作曲家が作品に込めた歌を感じていただける企画。

パーセルのファンタジア、五木の子守唄、アンダンテカンタービレは、どれも各国の古典的な作品であり、民謡が主題であったりと作品にその土地らしさがあらわれている。色々な歌(民謡)に親しんだ後に、リゲティの現代的な響きや色々な感情の変化に触れる。この作品がリゲティの初期・若い年代に作られた作品であることを考え、美しく歌うアプローチで表現したい。
プログラムの後半、たくさんの歌曲を残し、歌の分野を芸術作品にまで高めたシューベルトの大作、弦楽四重奏曲第15番を演奏する。シューベルトは「冬の旅」「美しい水車屋の娘」といった連作歌曲で、各曲に文学的・音楽的な関連性を持たせ、作品全体で統一的な世界を作り出した。それと同じように、この長大な弦楽四重奏曲の中に物語が描かれており、シューベルトが描いた人間の心の動きに誰もが共感できる部分があるだろう。