子どものバイオリンレッスン時間は何分がよい?当教室の考え方

「子どものバイオリンレッスンは40分では長いのではないですか」

体験レッスンの際にこのようなご質問をいただくことがあります。

もちろん30分レッスンにも良さがあります。小さなお子さまが初めて楽器に触れる場合や、まずは習い事に慣れることを目的とする場合には、30分という時間が適していることもあります。私も未就学児のお子さんには集中力に配慮し、30分レッスンからご提案しています。一方で、当教室では標準を40分または60分レッスンとしています。

それには理由があります。


バイオリンは「弾く前」の時間も大切です

ピアノと違い、バイオリンは教室へ来てすぐ演奏できるわけではありません。

ケースを開ける→楽器に肩当てを付ける→弓の毛を張る→弓の毛に松脂をぬる→調弦をする(楽器の音程を合わせる)

初心者の場合は、この一つ一つもレッスンの一部です。どんな向きで肩当てをつけるのか、どのくらい弓を張るのか、どのくらい松脂を塗るのか、すぐにはわからないことがたくさんありますし、まして調弦ができるようになるまでにはレッスン回数を重ねる必要があります。特に小さなお子さまですと、最初から自分でやるのは難しいため、自宅練習では手助けが必要になります。正しい準備の仕方は保護者の方にもご理解いただく必要があります。

30分レッスンではこの準備だけでもけっこう時間が過ぎてしまうため、ささっと先生がやってあげてじっくり指導しない教室も多いようです。ですが、正しい準備の仕方を身につけることも将来につながる大切な基礎になります。

特に調弦は音程を聴き分ける耳、弦をバランスよく響かせるボウイング(右手の弓の使い方)の技術が必要です。逆に言えば、調弦を練習することによって、そのような「バイオリンを演奏するのに必要な能力」が訓練されていきます。私のレッスンでは小さなお子さまでも調弦に取り組んでいます。もちろんすぐにはできませんし、未就学児と小学生ではできることが違います。その子ができる範囲を見極め、適切に補助しながら練習していきますので、ご安心ください。

バイオリンの習い事を始める4歳の男の子

基礎練習も曲も大切にしたい

子どものバイオリンレッスンでは、限られた時間の中で基礎練習と曲の両方を扱う必要があります。

ヴァイオリンらしい響きのある音を育てるためには、

  • 正しい立ち方
  • 良い姿勢
  • ボウイング
  • 音程

こうした基礎を毎回少しずつ積み重ねることが欠かせません。特にバイオリンはピアノと違って右手と左手で全く違う役割を持っており、違う動きをします。両方を同時に気をつけながら演奏するのは初心者には至難の業ですし、練習効率も悪くなりますので、分けて考えます。

特に小さな子どもはいくつもの指示に同時に注意を払うことはできません。ボウイングは子どもが体で覚えられるように細かく補助しています。左手の音程についてはただ間違った音の指摘するだけではなく、指の向きや並べ方まで細かく教えています。

そのうえで曲に取り組むことができると、明らかに仕上がりの質が向上します。また上達もスムーズです。

40分あることで、基礎練習も曲も落ち着いて取り組める時間が生まれます。


「ただ弾けた」だけで終わらせたくない

レッスンでは、ただ弾いて終わりではありません。

ここまで技術的なことをたくさん説明してきましたが、ヴァイオリン演奏とは最終的には「表現すること」です。私はヴァイオリンは楽器の中でも特に表現力のある歌う楽器だと感じています。どんな曲か考えてみたり、どんなふうに弾いてみたいか考える時間も大切です。お子様のアイディアを広げるために、歌ってみたり、ストーリーを考えてみる、同じ作曲家の他の曲を聴いてみる、など年齢や進度に応じて無限のアプローチがあります。

そこからまた「演奏したい」という意欲や、「もっと上達したい」という向上心につながるのではないでしょうか。


楽譜を自分で読めるようにするために

楽譜を読む練習も、一通り楽器と弓の持ち方に慣れてきたところで年齢に応じて導入しています。

子どものバイオリンレッスンにおいて、楽譜がすぐに読めるようになるかはとても個人差が大きい課題です。また子どもによって読めるようになりやすい方法も違っていますので、お子さまの様子をしっかり確認しながら進めていきます。

これまでの指導経験から感じることは、ドレミの順番に規則正しく鍵盤が並んでいるピアノよりも、楽譜上の音が実際ヴァイオリンの上で指を置く場所と結びつきづらいのではないかということです。ヴァイオリンは4本の弦があり、同じ音を違う弦で出すこともできるからです。ただ楽譜を読めるようにというだけでなく、混乱せずに実際の楽器の指遣いと結びつけるところまでしっかりとフォローするようにしています。


ご家庭での練習につながるレッスンを

レッスンの最後に「では、来週までにこの曲をたくさん練習してきてね」と言われるだけでは困ってしまうことがありませんか?

私はこれまでの経験を元に家庭で実践しやすい練習方法を考え、年齢や性格に合わせてご提案しています。

レッスン中に慌ただしく終わってしまうより、「今日は家でこれをやってみよう。」と理解して帰っていただきたいと考えています。「なぜそう弾くのか」「家では特に何を意識して練習すればよいか」まで丁寧にお伝えしています。ご家庭での練習方法と目的が明確になることで、次のレッスンまでの時間、そして次のレッスン自体もより有意義になります。

また普段の練習で困っていることやわからないことなども保護者の方からお聞きして、解決方法をご一緒に考えるようにしています。

40分という時間は、そのための余裕でもあります。


だからこそ、30分コースは対象を限定しています

当教室では30分コースは原則として未就学のお子さまを対象としています。また、小学1・2年生で初めてバイオリンを始めるお子さまについては、最初の半年間のみご希望に応じて30分コースを選択できるようにしています。

これは短いレッスンを否定しているからではありません。お子さまの成長に合わせて、無理なく40分レッスンへ移行できるようにするためです。


「長く続けたとき」の違い

レッスンは1回だけではありません。1年、3年、5年と積み重ねていきます。毎回10分の違いは小さく感じるかもしれません。しかし年間40回では約400分。6時間40分もの差になります。

この時間で、基礎を繰り返し確認し、良い耳を育て、家庭練習の方法を共有できます。

子どものバイオリンレッスンでは、この積み重ねが将来の演奏を大きく左右すると考えています。


おわりに

「できれば短時間で習いたい。」というご希望もあるかと思います。

一方で、「せっかく習うなら、基礎から丁寧に学ばせたい」とお考えのご家庭には、40分レッスンが理想的です。集中力があり、さらに上達を望むお子さまには60分レッスンでさらに深く学ぶこともできます。コンクールや将来専門的な道に進むことを考えている場合は、ゆくゆくは60分レッスンが必要になってきます。

美しい音、正しい姿勢、読譜力、表現力。これらは一朝一夕に身につくものではありません。だからこそ当教室では、お子さま一人ひとりと向き合う時間を大切にし、40分または60分レッスンを標準としています。

お子さまとご家庭の方針に合う教室かどうかは、実際にお話ししてみないと分からないこともありますし、お子さまの経験や集中力には個人差があります。当教室では体験レッスンで様子を拝見しながら、無理のないレッスン時間や進め方をご提案しています。

ご不安なことやご質問がありましたら、小さなことでも体験レッスンでご相談ください。

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